EAファーマ株式会社

吉永様写真(正面)

経営企画部 hhc推進グループ
グループ長
吉永 享史様

 

 

輝く人間性を知り、寄り添う力を身につける

「ヒューマンヘルスケア」を企業理念に、多くの患者の方とのふれあいを大切にされているエーザイ株式会社様。そのグループ会社であるEAファーマ株式会社様において、リードユーザと共に過ごす時間から学びを得るために、ワークショップをご利用いただきました。

一人ひとりと向き合い、可能性に気づく

 

−リードユーザ活用のきっかけと目的を教えてください

私はロイスディーツ症候群という疾患を経験しています。この疾患は手術等の治療を行うと身体障がい者1~3級の認定を受けますが、近年、手術や薬物治療の進展によって、日常生活に運動や食事の制限もなく、健常者と変わらぬ生活を送ることができます。
製薬企業に勤める私は、患者支援団体との協働や人財育成に関わることがあり、患者の経験をもつ立場であるからこそ、私が架け橋となって、様々な疾患の患者さんと製薬企業の社員が対話する機会や療養環境の改善の提案をしていかねばと思っていました。
そのような時に、リードユーザのひとりにお会いすることがありました。その方は目が不自由なうえに体の痺れもあり、車イスの生活を送っています。しかし、生きる力に満ちていてとても輝いていたのです。その方は、「限りある時間と限りある命をどのように社会に還元していこうかと、常々考えている」といわれ、その考えに私は強く感銘を受けました。そこで、弊社の人財育成プログラムにインクルーシブデザインのワークショップを組み込み、リードユーザとの接点をつくることで、日々健康な生活を送る社員に患者目線の気づきを得てもらいたいと思ったのがきっかけですね。
私たちが暮らす社会では、初めて会う方とお話しする際には、出身地や出身校、どこの会社に勤めどのような役職の方かなど、相手の外在的な部分に目が向きがちです。それは民主主義の社会では仕方がないことと理解しています。
しかし、私たち製薬会社の仕事は、医師の向こう側で生活している患者さんとご家族に目を向けることが重要で、病に向き合うことで、家族や仲間、自分自身に感謝をしながら療養生活を送られる患者さん、つまり病から内在的な自己に向き合わざるを得ない患者さんの人生をみつめて業務を推進する必要があると思っています。

―ワークショップの感想と成果をお聞かせください

吉永様写真(横)私が社会全般においてとても危惧していることは、日本におけるダイバーシティの考え方です。企業活動としてダイバーシティを理解し推進することは必要ですが、対象となる相手の想いを心で感じる機会は皆無です。
しかし、このワークショップには相手の想いを心で感じる機会が数多くあります。フィールドワークからリードユーザの想いや目線、同じグループに集う仲間との対話、仲間との相互理解から生み出す斬新なアイディアは普段の生活では得ることのできない体験でした。

例えば、目の不自由な方が3人いらっしゃればそれぞれに不自由に思っていることは違います。Aさんが不自由に思っていることがBさんは不自由に思っていなかったり、Cさんと一緒にいたらその不自由さよりも街へ出た時に社会的な資源に困っていたり……ということです。
今のダイバーシティの概念は、多様な人を受け入れるための体系がつくられていますが、その対象となる全ての人が心地よく暮らせる環境には至っていない。
様々な障がいをもつリードユーザとのフィールドワーク、グループに集う多様な人々との対話から社会のデザインを創作していく、そんな夢のあるプロセスがこのワークショップにはあります。
日本におもてなしの心があるのであれば、そのおもてなしの感性を有効に使える機会や環境をつくる。企業人として、そんな機会や仲間を増やしていきたいと思っています。しかし一方でワークショップを受講して悩ましいこともあります。
リードユーザや様々な仲間との出会い、社会づくりのアイディアの創作を経験して、参加者は自身の内在的な自己に気づき心を開くのですが、翌日から日常の生活に戻ると心の扉は閉じてしまう。心を開いた社員の想いや斬新なアイディアが会社にもち帰られ、社会のために取り組める気概を会社がもてるよう提案を続けていきたいと思います。

多様な価値を理解し、社会を変える担い手

 

-今後の貴社の展望とリードユーザ活用の可能性について教えてください

弊社は製薬企業の一員として、患者さんが安心安全に服用していただける製剤を提供し続けることはもちろんのこと、様々な疾患の啓発や患者さんの療養環境の改善を目指して提案していかねばなりません。社会に還元するきっかけを会社がつくり、社員の一人ひとりがあらゆる課題に目を向けて全力で取り組まなければ変革は実現しないんです。
疾患を経験した患者さんは、自分のためではなく同じ経験をもつ他の患者のためにという思いでご経験を話されることが多い。これら経験の集約と変革に向けた提言の場づくりを企業がどう支えていくかが大切です。
リードユーザとともに社員は社会問題を見つけ、様々なアイディアを提供していく。視座を変えて不自由を楽しみながら新たな提案を果たせる機会をリードユーザとともに協働していければ幸いです。

**************************************
EAファーマ株式会社
2016年4月、エーザイグループと味の素グループそれぞれの消化器疾患領域事業を統合し、消化器領域に特化したスペシャリティ・ファーマとして発足。
ヒューマンヘルスケア(hhc)企業として、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一に考え寄り添い、その真のニーズをとらえ、幅広いソリューションを提供する事で医療に貢献し続けています。